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貨物列車の最大輸送量

 今回の記事はマニアックなので付いてこれない方が多いと思います。そいう方はスルー推奨です。

 さて、なんで貨物列車の最大輸送量を調べてみようと思ったかというと、有事の際1個師団の兵站を維持するためにどれほどの物資が必要か考えたからです。過去記事『近代船の補給』でも書きましたが、1980年代の数字だとアメリカの機甲師団の1日の必要物資量(砲弾、燃料、兵士の食料、水などすべて)は攻勢時で3000トン、防御時で3400トン必要です。現代の米軍は歩兵師団も実質機甲師団なので1日に必要物資量は攻勢時3200トン、防御時3900トンとさらに増えます。

 現代でも数値はほとんど変わらないと思います。もしかしたら若干増えているかもしれません。これに対し当時のソ連戦車師団では1日必要物資量攻勢時2150トン、防御時2300トンと米軍よりは少ないです。自動車化狙撃師団も同様。1日必要物資量攻勢時1900トン、防御時2300トンです。というのも戦時編制の米師団は2万名を超えるのに対しソ連の師団は1万5千人から1万6千人とちょっと少ないからです。ヘリの数も違いますしね。

 このように第2次世界大戦では主力だった師団はあまりにも膨大な物資を消費するため、ほとんどの国では旅団が主力となっています。師団編制が主力なのは世界一の超大国アメリカと、軍事費ではアメリカに次ぐシナ人民解放軍くらいでしょう。日本の陸上自衛隊は一応師団編制を基本としていますが、実態は甲師団で9000名、乙師団で7000名と他国の旅団程度の規模しかありません。しかも定数を満たない師団がほとんどだという絶望的状況です。いかに戦後日本が国防を軽視したかの証拠でしょうね。

 軍隊の補給ですが、海に面している所では船舶によるものが一番効率よいです。ベトナム戦争でも50万人とも言われる米軍の兵站を支えたのは船舶でした。それに次ぐのが鉄道で、一番効率悪いのが自動車輸送です。トラックは積載量が少ないうえに、トラック自体も燃料を消費するからです。これも過去記事で恐縮ですが、アフガニスタン紛争の時ソ連軍が兵站に苦しんだのは一部しか鉄道が通っておらず、山岳地帯を縫うように走っている道路網も悪路が多くアフガンゲリラの格好の攻撃の的になっていたからでした。膨大な兵站の負担がソ連崩壊の原因になったとも言われるほどです。

 この時ソ連が投入した兵力は十数万程度、このくらいでも10年も続けると負担は馬鹿にならないのでしょう。前置きが非常に長くなりましたが、本題に入ると鉄道輸送でどれくらいの物資が輸送できるか調べてみました。

 日本の場合、貨物列車の最大輸送量は650トンだそうです。これに対しアメリカの貨物列車は何と3200トンも一度に運べます。これは鉄道狭軌の問題なのかもしれません。狭軌というのは鉄道線路の幅が標準軌の1435㎜より狭いものを言います。日本の場合は1067㎜(3フィート6インチ)で、イギリスの鉄道を採用したからでした。アメリカの鉄道は標準軌の1435㎜で、この違いが輸送力の違いなんでしょうが、それにしても違いすぎます。

 3200トンだと貨物列車一編成で1個師団の1日必要物資をだいたい賄う事ができますね。日本の陸自師団が米軍の半分の必要物資量だとしても二編成必要です。これじゃ有事の際必要な場所に部隊を送り込めませんよ。もっとも本土決戦になった時点で詰んでいるのでそこまで心配することはないのかもしれません。日本の国防で一番重要なのは制海権を維持する事。それと連動して航空優勢も保つことが最優先課題なのでしょう。

 もし敵が上陸してきた場合、真っ先に狙うのは日本の鉄道網、そして高速道路でしょう。小規模な日本の師団だと鉄道輸送を止められた時点で弱体化しますからね。海に面した所だと船舶輸送が可能ですが、それには制海権を取らなければ話になりません。日本の国防上、鉄道輸送はあまり当てにならないという事です。ならば不整地でも着陸できるC-2をもっと増やせといいたいです。戦術輸送機なら戦車も運べるC-17グローブマスターが欲しいところですな♪
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サール6型コルベット

サール6型コルベット写真

 イスラエル空軍に関する記事を書いたので今回は海軍です。陸軍、空軍に比べイスラエル海軍の印象は薄いと思います。イスラエルは伝統的に陸軍国で空軍も強いですが、海軍の重要性は他と比べたら低いです。とはいえ、周囲を敵に囲まれているイスラエルとしては海軍も必要です。地中海の制海権、シーレーンは米第6艦隊が掌握しているんですが、イスラエル近海の防衛は自国海軍が担当しなければなりません。

 イスラエル海軍は、大型の駆逐艦、フリゲートは保有していません。主力は小型のコルベットとミサイル艇です。それと若干の潜水艦。2000年代初頭までは満載排水量1275トンのサール5型(エイラート級)が主力でした。これに対し満載排水量1900トンとやや大型になったのがサール6型(マゲン級)です。2020年就役。

 サール6型は、コルベットとしては大きな方です。驚くべきはその武装で、こんな小さな船体にバラク8SAMを32セル、C-Dome近SAMも20セル積んでいます。バラク8は70㎞以上の射程を持つ対空ミサイルで一説ではスタンダードSM-2MRに匹敵する性能だとも言われます。C-Domeは名前からも想像できる通り、近距離防空ミサイルとして世界的に評価されるアイアンドームの艦上型です。

 加えてSSM(艦対艦ミサイル)を16発も搭載しています。通常の倍です。他国では8発が標準です。76㎜単装砲1基、324㎜魚雷発射管にSH-60ヘリコプター1機も搭載できます。1900トンの船体に詰め込めるだけ詰め込んで復元性はどうか?外洋航行能力はどうか?と心配になってきますが、イスラエルの近海で活動するだけなので割り切った設計なのでしょう。

 通常の海軍なら5000トン級の駆逐艦かフリゲートに載せるくらいの重武装です。設計はドイツのブラウンシュバイク級コルベットに基づいているそうですが、ブラウンシュバイク級の方がはるかに軽武装です。ドイツ海軍の場合は大型のフリゲートがあるのでコルベットにそこまでの武装は必要ないのでしょうが、イスラエルはこれが主力艦なのでこうなったのでしょう。速力も26ノットとちょっと遅いです。

 機関はウィキでは単にディーゼルと書いてありますがCODADかCODOGかディーゼル単機関か良く分かりませんでした。外洋に出ないのならガスタービン機関は必要ないのかもしれません。仮想敵国のエジプトもシリアもろくな海軍戦力はありませんからね。

 ちなみに前級サール5型の機関はCODOG(ディーゼルとガスタービン切り替え)で33ノットの速力を誇ります。

 今後サール6型コルベットは中東紛争で名前が出てくるかもしれませんのでご注目下さい。

イスラエル航空宇宙軍の戦力

イスラエル空軍戦力

 最近何かと話題のイスラエルですが、イスラエル空軍の戦力について調べてみました。と言ってもネット上の薄い情報なので細かい数値のミスはあるかもしれません。しかも数年前の情報なので現在は若干違っている(例えばF-35Iの保有数が増加しているとか)可能性もあります。

 イスラエルが中東最強の軍事国家であることは誰でもご存知だと思います。第3次中東戦争の圧勝、第4次中東戦争ではアラブ側の奇襲攻撃を受け一時は大損害を出しますが、粘り強く抵抗し最後はアラブ連合軍を押し返し勝利しました。その後のシリアやレバノン、ヒズボラやハマスなどのテロ組織との戦いでも圧勝します。それはある意味当然で、戦争に敗北すると国が滅亡するのですから覚悟が違います。国際社会がどんなに非難しようと、イスラエルは国益のためにはどんな残虐行為も厭わないのです。これを悪と見るか、生き残るために当然と見るかは評価の分かれるところですが、私はイスラエルの国防姿勢は支持します。

 本題に入りますが、イスラエル航空宇宙軍の戦力は驚くべき数ですね。F-15系こそ80機ですが、F-16系は300機もあります。しかもBlock50/52相当のF-16Iかそれに準ずるところまでアップグレードしているのですから驚きです。若干偵察機、哨戒機、早期警戒機の数が少ないかと思いますが、実はこれに関しては米軍が情報を提供しているからだとも言われます。実際米軍のAWACS(早期警戒管制機)がシリア空軍などの動向をイスラエル側に流しているそうです。衛星情報なども提供している可能性があります。

 これを他の中東諸国の空軍と比べてみましょう。中東ではトルコと並んで軍事大国のエジプト。こちらもイスラエルと和平した後西側装備に切り替えていますが、主力戦闘機F-16A型とC型のみで168機しかありません。ほかにMiG-29も残っていますが、おそらく最新のアップデートをされていないはずなので戦力は劣ります。フランスのミラージュ戦闘機系(5、2000など)も90機程度ありますが、ストライクイーグルまで保有するイスラエル航空宇宙軍の方が優勢です。エジプトはフランスからラファール戦闘機30機を導入予定ですが、まだ24機しか届いていないと言われます。

 次にトルコ空軍はどうでしょう。こちらも主力戦闘機はF-16C/D。エジプト空軍よりはましですが224機しか持っていません。他にF-4ファントムⅡE/F2020を174機保有していますが、旧式のためどれほど稼働機があるか不明です。トルコはロシア製の対空ミサイルS400を導入したためアメリカが怒りF-35の売却を拒否しています。

 ハマスやヒズボラの背後にいると言われるイランはどうでしょうか?データー上はイラン革命以前に保有していたF-14トムキャットが41機あると言われますが、どれだけ稼働しているか分かりません。アメリカから部品供給を断たれたため、ロシアの援助を受けて改修し中身はほとんどミグかスホーイ戦闘機になっているとも言われます。F-4ファントムⅡも64機あるとされますが、トルコよりさらに条件は厳しく本当に飛んでるのか非常に疑問です。トルコの場合は一応西側なので、各国で退役したファントムを貰って部品取りに使えるでしょうが、イランは闇市場でしか部品は手に入れられないでしょう。それこそマッコイ爺さん(知ってますか?笑)に頼むしかないですよ。F-5も100機近く持っているそうですが、韓国空軍で事故が多発しているように旧式すぎてパイロットが可哀そうです。

 アメリカと断交してからイランはロシアに接近しますが、MiG-29が19機程度と話になりません。頼みはシナから輸入したF-6(J-6)とかF-7(J-7)ですが、イスラエル航空宇宙軍と質的に対抗できないでしょう。おそらくイスラエル軍機が核施設を空爆しても手も足も出ないと思いますよ。まあロシア製の防空ミサイルがあるから完全に侮ることはできませんが。

 その意味ではイスラエル航空宇宙軍の戦力は中東では非常に有力だと言えるでしょう。

燃料気化爆弾とサーモバリック弾

 先日BSフジプライムニュースで元陸上自衛隊中部方面総監・陸将の山下裕貴(ひろたか)さんが「ロシア軍の塹壕を潰すためにはサーモバリック弾を使うしかない」と発言されていました。サーモバリック弾に関しては過去記事で何度か触れたのですが、どんなものか改めて勉強するために調べてみました。

 似たようなものに燃料気化爆弾というものがあります。実はこれもサーモバリック弾の一種で、酸化エチレン、酸化プロピレンなどの燃料を一時爆発で加圧沸騰させBLEVE(沸騰液体蒸気拡散爆発)という現象を引き起こし空中に拡散させるものです。この時その拡散は秒速2000mという超高速になり放出時間も100ミリ秒(0.1秒)でほんの一瞬です。加害半径は数百メートル。最初の一次爆発は衝撃波、二次爆発は衝撃波に加え空気中の酸素を爆発的な燃焼で一気に奪うので加害半径内にいる生物は窒息というか、内臓(肺)破裂でほぼ即死です。

 サーモバリック弾の場合は、起爆成分に液体ではなくハロゲン酸化剤、ホウ素、アルミニウム粉末、ケイ素粉末、マグネシウム粉末を使います。一次爆発で粉末を一気に拡散、二次爆発で化学反応させ固形物を急速に気化、引火させ爆発的な燃焼を起こさせます。どちらも衝撃波と燃焼で酸素を奪うことで加害範囲にいる生物を殺すのです。温度も2000度という超高温になるのでどちらにしろ生物はただでは済まないでしょう。

 私は科学に疎いのでこの説明で合ってるのか疑問ですが、山下陸将によれば塹壕を一気に潰せるそうです。ただサーモバリック弾は通常兵器の核兵器と呼ばれるくらいで核兵器を除いて最大の威力を持つ爆弾だけに人道上問題があると国際非難される可能性があります。とはいえ、米軍はアフガニスタンやイラクで平気で使用していたので結局強い者が使う場合は誰も非難しなくなるのでしょう。実際、ロシア軍もウクライナの戦場でサーモバリック弾を使っていると言われますからね。

 旧ヤフーブログ(から引越ししたはてなブログ)を読み返していたら、私は昔からバンカーバスターとサーモバリック弾を日本での導入すべきだと力説していました。その使い方は金正恩が籠っている地下要塞にまずバンカーバスターで大穴をあけ、そこにピンポイントでサーモバリック弾を撃ち込んで窒息死ないし内臓破壊で殺すというものです。

 実際に使わなくても、竹島あたりで実弾演習したら金正恩や習近平、プーチンついでに韓国などは震え上がると思いますよ。本気で国防を考えるならサーモバリック弾、バンカーバスターは是非導入してもらいたいですね。大量破壊兵器ではあるが核兵器ではないので導入のハードルは低いと思うんですがね。日本を守るためには形振り構っていられません。皆さんはサーモバリック弾の導入、どのように思われますか?

パナマ侵攻時の米軍部隊

 今日の記事はマニアックで一般の方は付いてこれないでしょうからスルー推奨です。

 たまたま1989年の米軍パナマ侵攻作戦(ジャストコーズ作戦)に関してネットで調べていたんですが、どのくらいの兵力が投入されたか興味を覚えました。

 その前に、パナマ侵攻とは麻薬取引をしていたとされる当時のパナマの最高実力者ノリエガ将軍を排除するためにアメリカが軍事侵攻した作戦で、相手が悪人だったというイメージは抜きにしても、独立国に一方的に侵略し制圧したという暴挙は現在のロシアによるウクライナ侵攻にも匹敵する悪事でした。結局国際政治は強い者が勝ち弱い者は泣き寝入りするしかないという事なのでしょう。結果は米軍の圧倒的勝利でパナマ国軍は解体され、今でもアメリカの事実上の傀儡のままという悲惨な状況です。

 日本語ウィキによるとパナマ国防軍の総兵力15400人に対し、米軍は第18空挺軍団を投入します。と言っても全軍ではなくその一部。パナマ侵攻作戦に投入した兵力は陸海空合わせて57000人で、このうち地上部隊は駐屯軍が13000人、侵攻部隊が9500人でした。

 ちなみに第18空挺軍団というのは隷下に第3歩兵師団、第10山岳師団、第82空挺師団、第101空挺師団を持ち、湾岸戦争にも参加した緊急展開を主目的とした機動軍団です。完全編成なら支援部隊を含めて10万人を超える大部隊です。

 日本語ウィキでは分からなかったので、海外版を見てみると、第18空挺軍団のうち主に第82空挺師団の一部が投入されたみたいです。第82空挺師団隷下のうち、第504空挺歩兵連隊を基幹とする第1旅団戦闘団がパナマに投入されます。とはいえ旅団戦闘団の戦力は多くても5000人前後なのでその他様々な支援部隊が投入されたのでしょう。第75レンジャー連隊や海兵隊1800人も投入されていたようです。

 駐屯軍とは何かも日本語版では分からなかったので海外版を調べてみると、パナマ運河条約で運河地帯に駐留を認められていた米軍部隊だそうです。その主力は第193軽歩兵旅団。隷下に第5、第10、第20歩兵連隊と第22野戦砲兵連隊を持ち、第210航空大隊も保有しています。旅団と言いながらもほぼ師団に匹敵する兵力で13000人というのも納得です。

 そもそも第193軽歩兵旅団は第97歩兵師団隷下だったそうですが、1962年独立し兵力増強してパナマ運河駐留部隊に選ばれたそうです。とはいえ海外版を翻訳しただけなので細かいところは間違っているかもしれません。ちなみに第97歩兵師団は軍縮で予備役に編入、現在の米陸軍現役師団は11個しかありません。第1、第2、第3、第4、第7、第25歩兵師団、第1機甲師団、第1騎兵師団、第10山岳師団、第82、第101空挺師団の11個です。

 パナマ駐留米軍だけでパナマ国防軍に圧勝できる装備を持っていたはずで、勝つのも当然。弱い者いじめにすぎなかったでしょう。そもそもノリエガ将軍自体アメリカのCIAが育てたようなものですからね。ソ連のアフガン侵攻の時オサマ・ビン・ラディンをCIAが支援しながらその後裏切られた構造とそっくりです。

 国際政治はこのように厳しい弱肉強食の世界だという事です。そこに綺麗事の入り込む余地はありません。日本人も平和ボケを卒業して世界の厳しい現実を知るべきですね。

ロシア軍が使用している弾丸について

 今日の話はマニアックなので軍事や国防に興味のない方はスルー推奨です。

 私は定期的に5ちゃんねるの軍事板を覗くんですが、その中のウクライナ情勢スレでロシア軍がついにマキシム機関銃を使いだしたというコメントがありました。マキシム機関銃というのはアメリカのマキシム重機関銃の完全コピーであるPM1905重機関銃を改良したPM1910重機関銃の事だと思いますが、第1次世界大戦前に採用された骨董品が今でも残っている事に驚きました。

 PM1910は水冷式で重く使いにくい銃ですが、水さえあらば永遠に撃ち続けられるので例えば厳冬期など雪を銃身部を覆う冷却水筒に投げ込めばよいというメリットもあります。攻勢作戦には使えませんが、今のような防御戦なら役に立つだろうと個人的には思います。

 使用弾丸はあるのかと思って調べてみると、モシン・ナガン(これも1891年採用のボルトアクションライフル)と共通の7.62㎜×54R弾でした。この弾丸は現代でも使用されているSVDドラグノフ狙撃銃で使われているので生産自体は行われているようです。ただモシン・ナガンやPM1910のような骨董品が今でも使えること自体凄いと思います。メンテナンスとか要らないんでしょうか?ソ連/ロシアの兵器は頑丈で有名ですからそれも可能なんですかね?そういえばT-34もエンジンが動かなかったのでハンマーで叩いたら動いたなどという冗談とも本当とも判断できないエピソードを聞いたことがあります。

 ちなみにロシア軍が現在使用している主力弾丸である5.45㎜×39弾は威力が1340J(ジュール)あります。7.62㎜×39弾で1991J。ちなみに西側標準の5.56㎜×45NATO弾は2092J、7.62㎜×51NATO弾では3348Jもあります。威力と反動のバランスを考えるとロシア軍は7.62㎜×39弾のままでも良かったような気はします。

 ちなみに運動エネルギーの計算式であるジュールは某サイトによると(初速×初速×弾頭重量)/2000で計算できるそうです。2000というのは重力加速度×2の事だそうですが、物理に疎いので良く分かりません(笑)。一応この計算式で7.62㎜×54R弾を計算すると2899Jだそうで7.62㎜NATO弾より威力は低いですね。初速(m/s)が遅いからなんでしょうかね?

 訓練もろくにできていない徴集兵に持たせるんですから、旧式のモシン・ナガンやPM1910で丁度良いとロシア軍上層部は考えているんでしょうが、こんな国に生まれなくて本当に良かったと思いますよ。

 旧式戦車で今ウクライナの戦場で確認されているのが1950年代生産のT-55だそうですが、もし残っていればT-44とかT-34も戦場で見れるかもしれませんね。そこまで来たらロシアの敗北は決定的なんでしょうが…。そういえばIS-3スターリン戦車が戦場に送られるとかいうニュースを聞いたことがあるんですが、あれは実現したのでしょうか?一応砲弾は122㎜榴弾砲の奴が使えるそうですが(徹甲弾はさすがに無理。あっても現代戦車の複合装甲は抜けない)、動くかどうかは賭けですね。

 IS-3の生産数が1200両弱なので、各型合計で57000両生産されたT-34シリーズの方が残っている可能性は高いと思います。確か北朝鮮では今でも現役ですよね。IS-3は中東戦争の時イスラエル軍のアメリカ製M48戦車に完敗したので戦車戦では使えないでしょうが、歩兵直協には使えるかもしれません。ただこんな旧式戦車使うくらいならBMP-3歩兵戦闘車の100㎜低圧砲の方が使い易いとは思いますがね。BMP-3自体が枯渇しているのかもしれません。



 ともかく我々戦史マニアには面白い話ですが、実際戦っているロシア兵にとってはたまったものじゃないんでしょうね。

歩兵大隊の担当正面の話

 今日の話は非常にマニアックな話なので軍事や国防に興味の無い方はスルーして下さい。

 ついに始まったウクライナ軍の反転攻勢ですが、BSの番組で元陸上自衛隊幕僚長・陸将の岩田清文氏がソ連軍の軍事ドクトリンでは歩兵大隊の担当正面は5㎞が限界だと言われていました。ザポリージャ州の戦闘正面が約100㎞、縦深も同じく100㎞。そこを40個大隊で防衛しているのだから二重の防御線でもぎりぎり。どこかに必ず穴があるはずで、ウクライナ軍はその穴を探るために全正面に攻撃を仕掛けていると指摘されていました。

 そこで歩兵大隊の担当正面について調べてみました。第2次世界大戦時では歩兵大隊の担当正面は1㎞だったそうです。それは重機関銃の戦闘距離が1㎞以下だったからです。歩兵大隊は約800名の兵員(3個歩兵中隊基幹、他に支援用の重火器中隊などが付く)で構成されています。その主力は歩兵ですが、大隊砲と呼ばれる歩兵支援用の軽火砲(日本で言えば九二式七十粍歩兵砲、米軍だとパックハウザー75㎜空挺砲)を数門装備しています。しかし防衛戦の場合は敵歩兵の浸透を防ぐために重機関銃の弾幕で守らないといけません。もちろん最小単位の分隊(国によって違うが6名~12名くらい、分隊長は軍曹)も分隊支援火器として軽機関銃を持っています。ただ軽機関銃は二脚でこちらが攻撃するとき弾幕をはって敵兵が頭を上げられなくするのが主任務で、重機関銃のように敵兵の突撃を阻止するような役目は稀です。有効射程が違いすぎるからです。

 第2次大戦中のドイツ軍や最近の軍隊では汎用機関銃といって同じ銃を分隊支援火器で使う場合は二脚、重機関銃として使う場合は三脚で使用しています。ドイツのMG34やMG42が有名ですよね。そこでロシア軍の重機関銃を調べてみたんですが、PKPペチャネグ(7.62㎜×54)、Kord(12.7㎜×108)、NSV(12.7㎜×108)などがあります。他に軽機関銃としてRPK(7.62㎜×39)やRPK74(5.45㎜×39)などがあります。軽機関銃はアサルトライフルの弾丸と共通なので有効射程は500mから1000m程度。重機関銃でも有効射程は2000mまでです。

 これでは5㎞正面を守る時スカスカになってしまいます。大隊正面の中央にある重機関銃は左右どちらにも弾幕をはれるのですが、端っこにある重機関銃は反対側まで火力支援を与えられません。ですから理想的には歩兵大隊の担当正面は2㎞程度だと思うんですよ。旧ソ連の軍事ドクトリンで歩兵大隊の担当正面5㎞というのは相互支援をある程度諦めた上での最大限なんでしょう。

 しかも防衛線を構築する場合、すべての兵力を前線に集めるわけにはいかず、敵の突破に備えて予備兵力を拘置しておかなくてはなりません。となるとますます防衛線に張り付かせる兵力が不足してしまいます。現在ロシア軍はウクライナ軍の攻撃を必死で防いでいますが、もし突破されたら目も当てられない状況になると思います。しかも防衛ラインは二重どころか三重になっている所もあります。加えて重要都市であるメリトポリやトクマクなどは全周に防衛ラインを張っているから尚更です。

 他の識者は40個大隊ではなく80個大隊くらい防衛兵力があると言う者もいますが、そもそもそこまで兵力に余力があれば防御戦などせず積極的に攻勢を取っているはずで信用できません。

 皆さんはロシア軍の防衛ラインと歩兵大隊の担当正面の話、どのような感想を持たれますか?

アメリカ空軍現有兵力2023年

米空軍現有機

 これも軍事研究6月号からです。

 アメリカ陸軍機甲師団1944年型の編制図を目的に買ったのですが、陸自南西防衛態勢やロシア原潜オホーツク要塞の現状、インドの外交防衛政策と日米安保など読みごたえがある記事が多く買って良かった一冊でした。たまにしか買っていなかったんですが、毎月チェックする必要がありますね♪

 このアメリカ空軍現有兵力もその一つです。2023年ですからまさに最新の数字です。実は他にも練習機とか救難ヘリなど多機種あるんですが、一枚の画像に入りきれないのでこれくらいに止めました。

 驚いたのはF-15C/Dで、かなり減っていますね。州兵の分は残っているんでしょうけど。かといってF-15EXも96機に調達予定を減らされさらに80機になるという話もありますからF-15系は減らす予定です。米空軍としては主力戦闘機として完全にF-35Aを据えようとしているのでしょう。私はF-35はF-16の代替かと思っていたんですが、どうやらF-15C/Dの代替になっているみたいです。搭載量を考えるとF-15E系は残した方が良いと個人的には思いますが、どうなんでしょうか?発射母機としてE系を使って中間誘導をステルス機のF-35にさせるという構想があったように記憶しているんですが。空対地も空対空もまだまだストライクイーグルは使えるはずなんですけどね。

 嘉手納のF-15C/Dが退役して部隊も撤退するのは納得ですね。一部では代わりにF-35A部隊が来るという話もありますが、一刻も早く実現してほしいと思います。いくらF-22Aでもローテーション配備では駄目ですよ。F-22にしろF-35にしろステルス機なので専用のメンテナンス施設が必要で通常整備で済まないのでそう簡単にはいかないという問題はありますが、極東有事を考えると力の空白は一番まずいと思うんですよ。F-15C/Dはまだまだ第一線級の戦闘機なので欲しい国は数多く出そう。イスラエルなどはすでに名乗り上げているかもしれませんね。台湾も欲しいかも?F-16V導入は決定していますが。ウクライナには当然間に合いません。それにタダであげるにはあまりにも勿体ない。各国が差し押さえたロシア資産でウクライナが買うというのはありかも?戦後賠償の前払いですよ(笑)。

 余談ついでに言うと、支援疲れしているアメリカや欧州も差し押さえたロシア資産を今のうちに貰うというのはどうでしょう?どうせこの戦争で負けたらロシアは滅亡するんですし。中東に逃げているオリガルヒ(新興財閥)の隠し資産や高級ヨットなど差し押さえしても良いと思うんですがね。悪は一蓮托生です。

 それから高高度偵察機のU-2は退役の方向なんですね。グローバルホークに代わるという話ですが、そのグローバルホーク自体問題がなかったですかね?このあたり知識がないのでご存知の方はご教授下さい。無人攻撃機の主力が完全にリーパー一色になったのも驚きでした。2015年段階ではまだプレデター(MQ-1)が150機くらい残っていたはずですが。もし余っているなら日本に安く売ってくれないですかね?プレデターでも空対地ミサイルのヘルファイアを2発撃てるから日本も欲しいんですよ。まあリーパーのようにペイロードが1.7トンもあって各種誘導爆弾他空対空ミサイル(現状ではスティンガー、将来的にはサイドワインダー搭載予定)を搭載するような凶悪さは求めていないんですよ。ちょっと怖いくらいでもシナ相手には十分ですから。

 そう言えばリーパーの非武装型のシーガーディアンは日本の海上保安庁も導入していましたよね。運用ノウハウは既にありそう。巡航ミサイルのトマホークは導入決定しているんだから無人攻撃機のハードルは無くなったと思うんですがね。今は無人機の時代ですよ!速度は遅いが、滞空時間は長くかなり変則機動できる巡航ミサイルみたいなもんと考えましょう♪

 余談があちこちに流れて収拾付かなくなったのでこれくらいで終わります。



追伸:

 F-15C/D退役に関してですが、州兵部隊に回すだけかもしれません。となると余らないから退役機を各国が買うという話も無くなるかも?ちょっと気になりますね。

ウクライナ戦争開戦初頭、ロシア軍が執拗にリヴィウをミサイル攻撃した理由

 たまたまYOUTUBEでMiG-29に関する動画を見ていたんですが、開戦前ウクライナ軍は主力戦闘機のMiG-29をフルクラムC系列9.13規格相当のMiG-29MU1やMU2に近代化改修していたものの予算不足で数機しかできていなかったとありました。改修を担当したのはリヴォフ航空機修理工場だったそうです。

 そこで調べたんですが、リヴォフはウクライナ西部にあるリヴィウのロシア語読みだと知り驚きました。ロシア軍が開戦劈頭から執拗にリヴィウをミサイル攻撃した理由が分かりましたよ。私はてっきりNATOから送られてきた軍需物資の集積地だったから攻撃していたのかと思っていたんですが、リヴィウ航空機修理工場を破壊する目的もあったんですね。

 リヴィウ航空機修理工場は、日本で言うなら愛知県小牧市の三菱重工小牧南工場にあるF-35のMRO&U(重整備拠点)やFACO(最終組み立て、検査施設)に当たる施設なのでしょう。おそらくNATO諸国から供与されたMiG-29の整備や修理もここで行われるはずですから、ロシア軍が徹底的に叩いておこうと思ったのも納得です。

 現在リヴィウ航空機修理工場が稼働しているのか情報がないので全く分かりませんが、キーウ並みに防空部隊を置いて何とか守って欲しいですね。そして航空機修理工場が稼働できていることを祈っています。

 ところで余談ですが、MiG-29は他のMiG戦闘機と同様モスクワの東410㎞ニジニ・ノブゴロド市にあるソコル航空機工場で生産されていました。もう一方の雄スホーイの戦闘機群は地方にある3つの航空機工場で生産されています。Su-27は極東地区沿海州にあるコムソモリスク・ナ・アムーレ航空機工場で生産されました。他にもバイカル湖畔イルクーツクにあるイルクート社イルクーツク航空機工場が最大の生産ラインを持っているそうです。

 もう一つの生産工場もシベリアのオビ川沿いにあるノヴォシビルスク航空機工場だそうで、ソ連時代はミグの方が優遇されていた印象です。それが大型戦闘機Su-27フランカーの登場で立場が逆転しました。フランカーは大型だけに発展性が高く重宝されたのかもしれませんね。MiG-29は所詮軽戦闘機ですから。

 私はソ連時代の軍事事情に詳しくないので分からないんですが、リヴィウ航空機修理工場はソ連だけでなく東欧諸国のMiG-29の修理や重整備を一手に引き受けていたのかもしれません。戦車も現在のウクライナにあるハリコフ(ウクライナ呼びハルキウ)戦車工場でT-64やT-80を生産していましたからね。

 これも調べてみると、1945年ソ連軍がドイツからハリコフを奪回した後同工場でT-44の生産を始めたそうです。その後T-54の最初の試作車を作ったのもハリコフ戦車工場。T-54、T-55はウラル戦車工場とハリコフ戦車工場が二大生産拠点だったと言われます。

 全く知らなかったので今回勉強になりました。

現代艦船の推進機関

艦船の複合推進


 ちょうど韓国が次期駆逐艦KDDXに初の統合電気式推進システムを採用するというニュースが入ってきたので、現代艦船の推進機関について調べてみました。

 CODADとかCOGOGとかの最初のCOはコンバインド(複合)という意味です。後の方のDODとかGAGの真ん中のOはORで切り替えの意味、AはANDで併用のことです。ということでCOGAGならガスタービンとガスタービンの複合機関で低速・巡航時のガスタービンに加え、高速を出す必要がある場合はもう一つのガスタービン期間を動かして推進します。

 一般的にガスタービン機関はジェットエンジンと同じ構造でパワーが出ますが燃費が悪いです。逆にディーゼル機関は燃費は良いですがガスタービンほどの出力は出ません。という事で、巡航時の燃費と高速時のパワーを併用するにはCODAGが良いのかもしれません。

 全部調べたわけではありませんが、現代の軍艦で一番採用されているのはCOGAGかCOGOGだと思います(間違ってたらゴメン)。日本の護衛艦でも多数採用されていますし、アメリカのタイコンデロガ級巡洋艦、アーレイバーク級駆逐艦もこれ(COGAG)です。

 そこで話が戻るんですが、KDDXに統合電気推進ってうまくいくか疑問です。コロンビア級は原子力エレクトリック推進だから全く別物だしクイーンエリザベス級空母は150000hp、ズムウオルト級は47000hp×2、5100hp×2の大出力ガスタービンエンジンを積んでいます。韓国海軍は世宗大王級駆逐艦で105000hp出せるので、いつものようにアメリカのゼネラル・エレクトリック社からガスタービンエンジンを買えば問題ないのかもしれません。あとで調べたら日本のIHIがライセンス生産しているように韓国もハンファテックウィンがライセンス生産しているようですね。

 ただ難しいのは、すべての動力を電気で賄うので攻撃に電気を使用すると航行に使用する電気が減る、甚だしい場合は動けなくなる可能性もあります。そういった総合的な電力の配分を韓国ができるかどうかです。別にヘイトでも揶揄でもありませんよ。まじめな話をしています。独島級強襲揚陸艦がエンジンに火災を起こし自力で動けなくなったという話もありますしね。

 ともかくKDDXがどうなるか注目しています。
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