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大清帝国Ⅱ  ホンタイジと清の建国

 ヌルハチの晩年、後金は4人の執政ベイレが月番で国政を助けていました。ベイレとは満洲語で部族の長を意味します。ヌルハチが後継者を決めず亡くなったことから、ベイレたちが話し合いヌルハチの第8子ホンタイジが推されて皇帝となります。

 ホンタイジは漢語では皇太極と書きました。皇太子の意味ですが、ヌルハチが後継者にしようとして名付けたのではなくモンゴルなど北方遊牧民族では一般的な君主号で単に王子とか高貴な者というニュアンスだったそうです。実際ジュンガル部の歴代ハンもホンタイジの称号を名乗っていました。

 ホンタイジの生母は海西エホ族長の娘で、エホ族は漢文化を取り入れ文明化していたためホンタイジも高い教育を受けます。また武勇に優れ父ヌルハチから4人のベイレの一人に抜擢されたほどです。ですから正式な後継ぎではなくとも最もそれに近い存在だったことは確かだと思います。

 ホンタイジが即位したとき、後金は危機にありました。明はこの機にとどめを刺そうとモンゴル高原に勢力を持っていたチャハル部のリンダン・ハーンを買収し背後を衝かせます。リンダン・ハーンは野望多き人物で偶然から元のフビライ・ハーンが作らせたという伝国の玉璽を手に入れていました。リンダン・ハーンはチンギス汗の正統な子孫である黄金氏族でかねてからモンゴル帝国の栄光を取り戻そうと考えていました。

 明の申し出はリンダン・ハーンにとっても渡りに船で、この際後金を滅ぼして東北まで勢力を拡大しようと軍勢を動かします。ところがリンダン・ハーンには人望がなく、モンゴル高原の遊牧部族の少なくない数がホンタイジに援助を求めチャハル部に抵抗しました。1628年、ホンタイジは後金軍を率いモンゴル高原に遠征します。一進一退を繰り返すも1631年には後金の勝利が確実となりました。

 劣勢のリンダン・ハーンは高原の西に逃亡し明に降伏します。ホンタイジは盟主のいなくなったモンゴル高原を統一しました。リンダン・ハーンは巻き返そうとチベット遠征を企画するも1636年陣中に没します。ホンタイジはチャハル部の残党を追跡し、ついにリンダンの息子エジェイは伝国の玉璽をホンタイジに差し出し降伏しました。

 伝国の玉璽の所有者となったホンタイジは、満洲族、モンゴル族、漢族から成るクリルタイの推戴を受け大清国を建国、皇帝となります。清とは「天」という意味で北方遊牧民の盟主にふさわしい国号でした。すでに1627年李氏朝鮮を討って属国にしていますから、ホンタイジにとって敵は明だけとなります。

 この間明でも激変が起こっていました。ヌルハチの侵略を見事防いだ名将袁崇煥が1630年謀反の罪を着せられ処刑されていたのです。一説ではホンタイジが明の宮廷に賄賂を贈り宦官を買収して讒言させたとも言われます。明朝最後の皇帝崇禎帝は無能な人物ではありませんでしたが、猜疑心が強く簡単に讒言を信じてしまいました。

 国が亡ぶときはこのように国家を支える名将が無実の罪で殺されがちですが、明の場合もまさにそうでした。ホンタイジはこの機を逃さず攻勢を掛けます。明は当時陝西・山西地方で李自成の反乱に対処していた洪承畴(こうじょうちゅう)を呼び戻し清軍に当たらせました。洪承畴も袁崇煥に劣らぬ名将でしたが、この決断は明にとって裏目となります。

 長城線が渤海に落ちる山海関とその前哨陣地寧遠城は難攻不落で、ある程度の将なら防げたはずです。一方、李自成の乱はこの当時まだそこまで拡大しておらず、洪承畴は平定寸前でした。名将洪承畴が居なくなったことで李自成の乱は拡大の一途を辿ります。

 遼東に向かった洪承畴は朝廷から13万の官軍を授けられました。現地に到達した洪承畴は、清軍の勢いが強いことから籠城しようとします。ところが朝廷は積極策を命じ出撃せざるを得なくなりました。結局準備不足の明軍は、清の騎兵に翻弄され大敗、洪承畴も清軍の捕虜となります。死を覚悟した洪承畴はホンタイジの寛大な態度に心動かされ降伏しました。多くの明の将軍が清に降る中、後方寧遠城に残っていた呉三桂だけが抵抗を続けます。

 この時の呉三桂の心境は分かりませんが、純粋な明王朝に対する忠誠心ではなかったような気がします。自然、呉三桂は遼東における明の総司令官という立場になり15万という大軍の主となりました。朝廷は呉三桂に平西伯という官爵を与え厚遇します。

 ホンタイジは、明への攻勢を続ける中朝廷の組織を固め八旗兵という清軍の基本編制を創設しました。普通、遊牧民族の征服王朝は支那大陸を平定してから朝廷の組織を作るものですが、清だけはすでに東北にいる時から準備していたのです。当時の清の首都は瀋陽でした。




 ホンタイジと呉三桂の戦いはどのような経過を辿るのでしょうか?次回摂政王ドルゴンにご期待ください。
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